MMOにPKシステムは本当に必要なのか

オンラインゲームの話です。

わたしが現在やっているMMORPGは「黒い砂漠」というタイトルですが、別の記事でも書いたように、わたしが今一番おもしろいと思っているMMORPGです。
ですがこのゲーム、レベル50以降は強制的にPKのある世界になります。正直、ここはあまり好きになれない部分です。

PK(Player Kill)システム…プレイヤー同士での殺し合い

今日は、このシステムについて考えてみます。

※この文中では以下の用語を以下の意味として使用します。

  • PvP…Player vs Player の略。プレイヤー同士が同意の上で戦うことを指します。
  • PvE…Player vs Enemy の略。プレイヤーとMob(プレイヤーに操作されていない敵性モンスター)の戦闘を指します。
  • PK…Player Killerの略。プレイヤーを殺すプレイヤーを指します。


「昔のネトゲはPKが当たり前だった」ってホント?


よくPKは必要か必要でないかの話になった時に「昔のMMOはPKが当たり前だったじゃないか」って話を聞きます。ホントでしょうか?
そういう意見って、1990年代後半の Ultima Online や EverQuest のようなインターネットもオンラインゲームも登場したての文字通り混沌とした時代の話を語られてる気がします。

日本でインターネットが普及し始めたのは Windows 95 が発売されてからです。この頃は1メガバイトの添付ファイルを付けたメールを送信しようものなら「こんな重たいファイル付けて送ってくるな!」と送信先に文句を言われてた時代。いたるところに Wi-fi が設置されててスマホで動画(!)を観たり、ゲーム(!!)できる現代とはまるっきり環境も時代背景も違います。

日本のMMO全盛期がいつ頃かは人によって意見が分かれるところですが、概ね2003年から2010年くらいまでと答える方が多いようです。わたしもそのくらいにネトゲに出会いました。
ネトゲを始める切っ掛けになった「ラグナロクオンライン」は今年で満16年になる老舗MMOですが、PKシステムなんてなかったですよ。途中でPK可能鯖ができましたが常に閑古鳥が鳴いてる状態。
わたしはプレイしてないですが、FF11も2002年にスタートしてますがPKなし。
2003年から今も稼働してるメイプルストーリーもPKシステムなし。
信長の野望Online では時間や場所を限ってのロールプレイとしてのPKが認められていただけですし、大航海時代Online ではロールプレイとしての海賊(PK)行為というPKに対する意味付けがしっかりとされていました(少なくともわたしがやってた時は、です)。

だから「昔のMMOはPKが当たり前だった」という話には疑問符を打ってしまうのです。


PvPとPKは違う


PvPは特定の空間やフラグ管理によって、互いの同意の上に戦闘を行います。両方がやる気なわけですから、負けても「あいつ強いなぁ いつかは倒してやる」というふうに思えます。ラグナロクオンラインの攻城戦や大航海時代Onlineの大海戦も自らの意思で参加して戦闘を行うので、よほどのこと(罵詈雑言を浴びせられたとか根も葉もない事を言われたとか)がなければ、いい意味でそこで終わりです。

対して、PKは本質的に違います。相手の意思などお構いなしの一方的な攻撃です。
そこには話して解決しようとする時間も意思もありません。「視界に入ったから」「狩場を専有したいから」こんな身勝手で自己中心的な理由だったりすることもあります。
PKされた側に残るのは、ショックと、恨みの念です。中にはそのゲームを続ける気さえなくす人が少なからずいます。

黒い砂漠では、狩場問題で揉めた時にPKを解決方法として用いることを容認している人がかなりの数います。「力こそ正義」の理論でしょうが、どうもわたしはこの理論が好きになれません。なぜ話しかけて解決しようとしないのか、コミュニケーションを飛ばしてPKに飛躍するのか - どうしても人間の身勝手な部分を目の当たりにしてるようで、好きになれないのです。


秀逸だった大航海時代OnlineのPKシステム


PKシステムで唯一「この運用の仕方は上手かったな」と思うのは、大航海時代Onlineの海賊(PK)システムです。

このゲームでは、大航海時代という時代背景を意識して、PKを海賊(赤ネーム)と私掠海賊(オレンジネーム)とに分類していました。赤ネームは自国民・他国民を問わずPKをする人、オレンジネームは自国民は襲わず他国民をPKする人、という括りです。
こうすることで、PKという行為にロールプレイ的な意味合いが生まれます。
「オレンジネームは自国の利益のためにやってる」というロールプレイ、赤ネームは「海賊は国なんてものは持たねぇ 自分が全てよ」というロールプレイ。

MMO「RPG」だからロールプレイ要素としてPKシステムを運用しよう、という考え方は理にかなっていたと思いますし、ある時期まではうまく機能してたと思います。


最近のネトゲに感じる「対人コンテンツ入れなきゃ流行らない」的な流れ


さて、時代を現代に戻すと、最近リリースされたネトゲ(PC版・スマホ版に関わらず)は、ゲームの主軸を対人コンテンツに置いているものが多く見られます。BLESS、シャドウバース、リネージュ2、FAITH…一度は名前を聞いたことがあるタイトルも多いかと思います。主軸に据えていなくても、大抵のネトゲには対人要素(コロシアムなどの限られた空間でPvPを行うもの)はたいてい組み込まれていたりします。

いやぁ…みんなそんなに対人コンテンツやりたいんですかね?
どうも「対人コンテンツ主軸のあのゲームが当たった!ウチも続け!」「アツくなる人がいるから課金が捗る」みたいなゲームを作る側のツゴウが先行してるだけな気もするんですが、わたしの見方がひねくれてるだけでしょうかね。


混ぜるな危険


不思議なのは、開発側がなぜワールドを分けようと考えないのかです。
PK可能鯖(チャンネル)とPK不可鯖(チャンネル)を作れば誰も損をしないのに。
PKが嫌いな人はPK不可鯖でPvEに精を出すでしょうし、PK可能鯖では「力こそ正義」を貫こうとするプレイヤーがしのぎを削るでしょう。開発/運営も両派を取り込めて同接人数も増えるでしょう。
PK肯定派とPK否定派を混ぜるから、要らぬ争いが起こるんです。


まとめ


なんか最近「PKシステムやPvPに興味がない(むしろ嫌いな)わたしみたいな人はマイノリティなのかもしれない」と思って、この記事を書いてみることにしました。

やっぱりわたしは、MMORPGにおいてロールプレイ要素を伴わないPKというのは必要ないと思います。
分ければいいんですよ。住み分けできるように。


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