改正出入国管理法成立について思う

改正出入国管理法が成立して、2019年4月1日から施行されるそうな。
最大で34万5000人くらいですっけか?政府の言い分だと人手不足を解消するのに必要なんだそうで。

人手不足ねぇ…。


本当に人手不足なのか



この国では、一度レールを外れたり、止まってしまった人間が再起するのは容易じゃないです。みんながみんな再起できないってわけじゃないけど、再起できない人もいます。

自分の話になるんですが、わたしは今から15年ほど前に鬱病になって当時勤めていた会社を辞めました。35歳の時だったです。
辞めたのか、辞めさせられたのか、その両方だったのか、まあそれは今となっては半分どうでもいいことです。

40歳目前になって治療にめどが付いて「さあ働くぞ」と思ったらリーマンショックですよ。再就職先なんてそうそうありゃしません。何社から「お祈り」を頂いたことか。

半ば仕方なしにタクシーの乗務員になって3年半。2,3ヶ月に1回は遭遇する乗務員をイビるために乗ってくるヤツ(信じられないでしょうが、ホントにいるんですよ)に耐え、胃潰瘍になっても我慢し、いよいよ「もうダメだ、本当に潰れてしまう」と思い乗務を辞めた時には45歳です。

もう、そうそうバイト先すらありません。
応募先に電話をかけると、まず大抵歳を聞かれます。で、それで話が終わってしまうことが多いです。面接してくれるところは少ないです。
面接当日になって断りの電話を受けたこともあります。これが現実です。

「そんなの自己責任だろ」なんて思いますか?
今で言うパワハラが元で鬱病になったのまで自己責任にされても困りますわ。

働く意志があっても「あなたには能力がないでしょう?その歳ですし」 - 面接もなにもせずに電話で歳を訊いただけで判断できる超能力は、確かにわたしにはないですけどね。

だから思うのです。ホントに人手が足りてないのか?と。
単に企業側が「安価」で「若い」労働力「だけ」を欲してるだけじゃないのか?と。
その結果が人手不足なら、企業側が自分で自分の首を絞めてるだけじゃないかと思えてしまいます。

総務省統計局の労働力調査(2018年10月分)によると、完全失業率は2.4%(163万人)だそうです。
改正出入国管理法で今後5年間に受け入れる予定人数の34万5000人よりはるかに多いですよね。なんか矛盾してる気がするのはわたしだけでしょうか。

議論を尽くした上で導入を


それでも、議論しつくされて与野党双方が納得の上での改正なら、まあ仕方ないと思えます。でも議論がつくされたって感じじゃないですよね。
大枠だけ決めたザル状態で法案だけ通したっていう感じに見えます。

12月8日の朝日新聞デジタルの記事ですが、経団連の中西会長は歓迎のコメントを出してますが、経済同友会の小林代表幹事長や連合の相原事務局長は議論が不十分というコメントを出しています。

外国人労働者の失踪者や最低賃金以下での長時間労働など、それらをきちんと管理できて改善できてるならまだ救いもありますが、そのあたりをザルのままにして法案を通して「外国人労働者を受け入れないと!」と言われても、信じられないなあってのが本音です。


恐らく多数発生すると思われる失踪者の捜索は?
外国人労働者の雇用環境の保証は?
恐らく出来上がるであろう外国人労働者のコミュニティとの文化の違いによる摩擦は?

ド素人のわたしでも、上のような疑問が出てきます。これらのことについて議論が十分なされたんでしょうか?

希望?誇り?


ほんに、住みにくい国になったものです。
「持てる者」は、改正入管法で外国人労働者が増えても直接の影響はないかもしれませんが、「持たざる者」は下手すると仕事にあぶれるという不安を抱えます。そうでなくとも、「持たざる者」には不安材料がてんこ盛りです。

安倍首相の所信表明演説は「希望にあふれ、誇りある日本を」でした。

悪いんですが、夢も希望も、持てって言われても持てないですよ。


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